ロマンス洋書の英語メモ

ロマンス小説の洋書を読んで気づいたこと、考えたこと、調べたことをつらつらと

求愛から結婚まで【ヒストリカルの英語】

ヒストリカルロマンス洋書でよく見る求愛から結婚までにかかわる英単語/フレーズです。
舞台としてリージェンシー(イギリス、摂政時代)の上流社会を設定します。ロマンスによくあるパターンをなぞるため、史実に沿っているかどうかは考慮していないのでご了承ください。

上流社会の男性が結婚相手を見つけるには社交界(the ton)の結婚市場(marriage mart)で探すのが手っ取り早いです。
持参金(dowry)が多い女性や相続財産がある女性(heiress)は結婚相手として人気です*1

オールマックス(Almack’s)の舞踏会(ball)やハウスパーティ(house party)で出会いを増やし、結婚したいと思える女性が見つかったら、彼女の父親(または保護者)に、求婚(courtship*2 )してもよいか許しを請います*3。求婚者(suitor)は女性に花を贈ったり訪問したり一緒に散歩に連れ出したりして求愛します(woo / court)。二人きりで会うことは許されず*4、デートのときにもお目付役の女性(chaperone)が付き添います*5

機が熟したらプロポーズして(make a marriage proposal)女性がOKしたらめでたく婚約(betrothal)です*6

結婚条件の取り決め(marriage settlement)をして、新聞にお知らせ(announcement)を載せます。

すぐに結婚式(nuptials*7 / wedding)をあげられるわけではなく、教会に婚前予告(notice / banns of marriage)を出します。日曜日ごとに3回出す必要があるので早くても3週間くらいかかるのですが、そんなに待てないというせっかちな人には特別許可証(special license)をとって(お金がかかる)結婚する方法もあります*8

教会の結婚式で立ち会い人(witnesses)のもと牧師(clergyman / rector)の前で結婚の誓い(vows)を立てます。公爵だったら聖ジョージ教会(St. George’s)で貴族(peerage)の半分が集まるような盛大な式をするのもいいかもしれません。式の後は屋敷で会食(wedding breakfast)が開かれることもあります。

そもそも結婚を許してもらえないカップルは駆け落ちする(elope)という手があります。行き先はスコットランドのグレトナグリーン(Gretna Green)。イングランドと違いスコットランドでは結婚予告も親の承諾も不要なので、イングランドとの国境に一番近いグレトナグリーンで結婚するのが定番でした*9

*1:持参金がないと候補ともみなされないので、貧乏令嬢は策を講じなければならなくなるのですね。

*2:今で言う「結婚を前提としたおつきあい」でしょうか。

*3:われらがヒーローは許しを得る前に突っ走ることも多い。

*4:そんなことをすると女性が堕落した(ruined)とか名誉が汚された(compromised)との噂がたつ。

*5:気が利くシャペロンなら短時間二人きりにしてくれたりする。

*6:私はヒストリカルの長ったらしいプロポーズが大好物です。

*7:古風な言葉のnuptialが、prenup(prenuptial agreement)(婚姻前夫婦財産合意)という言葉には今も残っているのが興味深いです。

*8:ロマ本の特別許可証取得率はかなり高い(私調べ)

*9:でもロンドンからだと馬車で何日もかかるので、これはこれで大変そう。